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ここだけの話 2024/12/27
中学時代からの旧知の友人と1年ぶりに再会した
11月の個展にも姿を現さなかったので 気になっていた
彼は3年前に自宅で心不全で倒れそのまま手術となり 奇跡の生還を果たした
意識が戻るとき ちょうど 夜が明けるように前方からゆっくり光が差し込み
その時 何か悟りのようなものを得たらしい
これからはこの光の導くままに無欲に生きよう と心に決めたという
あちらの世界に一度は踏み込みながら 強運にも 再び現世に帰還を果たしたのだ
そう思うと どこか現世離れした独特の雰囲気がある
目には光が宿り 眼光は鋭い これならまだまだ大丈夫だ
後楽園駅近くのファミレスに入り 食事をしながら 昔話に花が咲いた
70数年生きながらえて お互い鮮明に覚えているのは なぜか中学頃までの少年期の出来事だ
青年期の事柄はあまり記憶にのぼらない
運動会 走りのライバルは誰だった 魚とりの名人は誰だったなどなど
話は縦横に飛び 当時のイメージがスクリーンに映し出されるように視界に広がる
遊びまわる少年たちの息遣いさえ聞こえて来そうだ
楽しい時間はあっという間に過ぎ
後楽園駅の公園まで戻り 来春の再会を約束し 互いの帰途についた
年末 小春日和の日はまだ高い
また来年会おう








 

ここだけの話
気がつけば ほぼ四半世紀が経過していますが 「
アメリカ現代芸術は何を残したか」を書いたのは ちょうどミレニアム 二〇世紀から二一世紀への切り代わり が近づく時期の数年です
幼少時から ただただ  夢中で描いていた 雑誌の挿絵や漫画のコピー それが 私の絵でした 
高校の美術教師に 絵を続けるなら デッサンを勉強して 美大に行きなさい と諭された
どうやら 私の描いていたのは 本物の絵ではなかったらしい
2年浪人して 運よく美大に入った
美大 そこは 芸術といえば 古典・近代のそれで 時間が止まったかのような世界だった
そこで 唯一 勉強したのは古典技法でした 
フランドル古典絵画は 本物の絵であったし 好きだった漫画や挿絵に どこか近かい空気があった  
しかし 時代は アメリカン・アートが全盛の二〇世紀後半である  
ポップ・アートでは 漫画が なんと そのまま芸術になっている
なんだ 漫画で良かったんじゃないか どこか納得がいかず ちょっと騙されたような気分もした
美大の先生たちの大半は 古色蒼然の画壇 での仕事に忙しいらしく 現代の変動には 知らぬ顔を決め込んでいる様子だった
大学に残れそうもないので 都立高校の美術教師になった   
そうするうちに 時は流れ 気づけばミレニアムが近づく 学生時代に ぐずぐずしていた 芸術の不確定な問題は そのままになっている
このままだと まずい 
今 自分の思うところをまとめて 前に進まねば 無為の人生になってしまう ...
自分の視界に 片付かないまま 雑然と 映っている 芸術・文化の風景を 総ざらいして その洗い直し作業で 何がしか 自分のもの 自分の考え  をつかまねば と思った
そして ちょうど2000年に自費出版したのが この著作です 
現在 世界の混沌は より深まって行くようでもあり かつてのこの論も リライトして再発表する意義は あると思われ HPに採録し始めました
​皆様に 目を通していただければ 嬉しいです              2024.11.04

 

ここだけの話 2025.2.10
 
秋のせんびゃく堂画廊企画展に招待する人材を求めて 今年も画廊オーナー夫妻と3人でG大の卒制展に出かけた
同画廊の
企画展は 有能な若手作家や作家志望の学生の方々に発表の機会を提供するボランティアベースの活動である

しかし 会場を見渡すと 生産の効率を第一に求める世の風潮にあってか 美大卒業終了に至った若手諸君には元気がない
ほとんどの作品がうすぼんやりした色彩で 立体の場合は可愛い系の作風である
「どうしてこうなのですかねぇ」とオーナーのM氏に声をかけると
「ボスの頭のなかがモヤってるからね」と即答 苦笑するしかない

多くの大学教授たちは美術業界の中で自らの立ち位置を確保するのに忙しいようだし
小中高の先生たちはブラックな事務作業に忙殺されて 生徒に向かい合う本来の教育的時間は限られている こうした現状からは創造的発想を持つ若者が育つ確率は低いというほかない

かくして 我々3人は こうした逆境の中でも少なからずいるはずの <現実に深く根を張る若者>を探すことになる 

目にとまった一人に彫刻科大学院のT君がいた
鉄の塊を溶接して巨大な男性像を出品している
高さは3メートル以上あるだろうか重さは600キロほどという
G大美術館の天井を突き破りそうな迫力がある
彼とは小品 といっても50キロ以内 をせんびゃく堂での企画展に出品する方向で話が進んだ
後で彼のM大卒制インタビュービデオがSNSにアップされいるのを見つけた
それによると T君はG大以前にM大彫刻科に在籍し同大卒業展に巨大な馬の像を出品している
革命家チェ・ゲバラが南米大陸を横断したバイクの名前を作品名としたという
彼が企画展に参加してくれるとして 
作品を置いた部屋の一隅でこのインタビュービデオ流せば良い感じの展示になるに違いない

他にもシーラカンスを鍛金で打ち出した工芸4年のD君がいた
器用な人物で折り紙細工のオリジナルを多作し書籍にもなっているという
それから院工芸彫金研究室のKさん 金工と七宝焼きの技術を駆使し繊細な作品を出品
彼らからも企画展に参加の快諾を得た

さらに鍛金の先輩Yさん 以前から企画展に関わっておられるが今年は参加して頂けるという
G大関係からはこの最強のメンバーが参加予定のはこびとなった







 
帰路 画廊オーナー夫人とお汁粉に舌鼓をうちながら 企画展の構想に花が咲いた
今から期待に胸が躍る

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